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「環境アセスメント法」をつくるべきだということで、環境庁は法案を準備したが、多くの省に反対されてなかなか法案を出すことができず、ようやく昭和56年に法案を提出したが、各省庁や当時の与党自民党にそっぽを向かれて、結局、法案はのたれ死にをしてしまった(昭和58年廃案)。
そこで当時の内閣は、法律によらないで昭和519年に閣議決定に基づいて、いわゆる「閣議アセス」を11の事業について行うこととした。
なお、発電所については、閣議アセスの中にも入らずに、電源開発法の枠のもとで通産省の省議によってアセスメント「環境基本法」に基づき、今回、再び環境アセスメント法案が提出されることになった。
その審議にあたって、閣議アセスについて中央環境審議会が国民からのヒアリングなど意見を聴取したところ、閣議アセスに対する批判が強かった。
一つは、アセス手続が正式に開始される前にいろいろな調査などをしているわけだが、環境影響評価の準備書をつくるときになってはじめて住民に対して情報が出されることになっている。
しかもその際に必ずしも調査の原資料が公表されるわけではない。
その意味で住民に対する資料の公開が十分でないのみならず、もうほとんど事業計画の内容が決定し、もう変更し難い段階になって準備書が作成されるため、住民等が準備書に対して意見をいってもあまりそれが反映されないことが多い。
また、評価については、「アセスメントではなくてアワセメント」という悪口があったけれども、環境基準に反しない限り、環境に著しい影響はないという結論を出すようなアセスであったということで、大きな不満があった。
評価項目についても、典型7公害といくつか例示されている自然環境についてのみ評価し、生物多様性など広く環境をとらえていない、という批判が強かった。
アセス対象事業についても閣議アセスの11事業で、しかも大規模なものだけというのは狭すぎるという批判があった。
こうして平成9年に成立した「環境アセスメント法」(環墳影響評価法)では、まず対象事業については、国が何らかの形でかかわっている事業を対象とするが、従来の11事業と発電所などの省議アセス対象だけではなく、もう少し広げている。
また、これまでは大規模な事業についてだけ行っていたが、場合によっては大規模でなくても拾い上げてアセスをさせることとした。
スクリーニングといって、アセスの調査を開始する段階で事業者は地方自治体などの意見を聞いて、どういう事業についてアセスを行うかを決めることになっている。
事業によって多少違うが、事業者は準備書を出す前からできるだけ早い時期に外部に情報を出して、その段階でスクリーニングを行うわけである。
さらに、閣議アセスでは典型7公害と自然環境のいくつかの項目だけを評価していたが、事業によってはもっと広い項目についてアセスする必要があるであろうし、他方、場合によっては全部の項目を評価しなくてもいい場合もあるかもしれないので、地方公共団体や住民の意見を聞いてアセス項目を決めるという、いわゆるスコーピング手続を取り入れている。
このように、今回の法律では、従来のアセスよりも対象事業を広げ、そして対象項目を広げ、手続開始の時期を前にもってくるという考え方をとっている。
今後具体的に政令や規則などで細目が決まってくるので、いまの時点では詳細はわからないが、少なくとも従来の閣議アセスなどがもっていた欠陥は克服されることになろう。
さらに、アセス手続が終わった後、全部についてではないが、必要なものについてはフォローァップの調査を行うことも規定されている。
その他、「省議アセス」では通産大臣に求められたときだけ環境庁長官が意見を述べることができたのが、今回の法律では当然に意見がいえることになったなど、いろいろなところで手当がしてある。
既に述べたように、都市公害問題に対しては、一つひとつの排出口を押さえて規制をしていくということでは足りず、計画的な発想でやっていかなければならない。
また、従来の直接的な規制では、法律等に違反をしたら処罰できることになっているが、実際にはなかなか処罰しない。
いずれにしても、これまでの伝統的な法規制の手法が有効に働かないのが地球環境問題についてである。
昭和60年代になると、成層圏オゾンの減少の問題や、地球温暖化の問題、熱帯雨林の消滅の問題など、さまざまな地球的規模での環境問題が議論されるようになった。
一部の科学者は1960年代から地球環境問題について懸念していたが、国際政治の場でこの問題が取り上げられたのは、1972年のストックホルムの国連人間環境会議である。
しかし、当時は途上国の多くが地球環境問題に関心をもたず、先進国の間でもお祭りには参加したがその後ほとんど具体的な対策がとられることもなく、地球環境問題は悪化の一途をたどり、ようやくストックホルム会議から二十年後に国連環境開発会議がリオデジャネイロで開かれた。
リオの会議ではいくつかの問題が取り上げられたが、とりわけ、地球温暖化の問題や生物多様性の問題が取り上げられた。
環境法概説ここでは地球温暖化の問題を取り上げるが、地球温暖化や資源の問題となると、産業界だけが責任をもち対応をすることでは十分でない。
例えばエネルギーの消費についてみると、現在、日本では炭素換算にして産業界が40%くらいの化石燃料消費をしている。
これに対して一般家庭は3%くらいだが、直接には二酸化炭素を出してはいないが家庭で使用する電気の二酸化炭素排出は電力会社にカウントされている。
また、家庭が使う自動車やいろいろな製品をつくるときのエネルギー消費は家庭にカウントされていない。
ゴミの焼却の際の二酸化炭素も家庭にカウントされていない。
試算によると、40数%の二酸化炭素排出にわれわれ市民が関係をしているということである。
温暖化の問題では、このままいけば、21世紀の末になると地球の気温は平均で2〜3度上がり、海面が50センチくらい上昇する。
次の世代あるいは次の次の世代が生きていくためには、温暖化を何とかくい止めなければならない。
しかも温室効果ガス排出量で、日本はアメリカ、中国、ロシアに次いで第4位であり、われわれの生活が地球温暖化に大きな影響力をもっている。
そうだとすると、日本における経済活動や日常生活をいままでと違うものに変えない限り、我食は地球温暖化に力を貸すことになる。
そこで、従来の公害対策だけではなく、環境問題全体についてさらに総合的な施策を講ずるための法律をつくるべきであろうということで、リオの会議の直後から策定にとりかかり、翌平成5年の11月に「環境基本法」が制定された。
依然として産業界が一番大きな環境破壊源だから、産業界はもちろん責任を負うが、国民も、一人ひとりが現在の物質優先の社会をそのまま続けていくことは許されないということから、「循環」型社会、リサイクル型社会をつくるということが環境基本法の大きな目玉となっている。
その他、自然との「共生」を図っていくことが環境基本法の目標である。
また、今日の環境問題は世界全体にかかわっているから、「国際的取組み」が必要である。
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